調整池の計算、ため池の設計、洪水調節計算





調整池の計算、ため池の設計、洪水調節計算のものすごく便利な情報

調節池・調整池の容量計算を行うときに知っておきたい留意点

調節池・調整池の設計については、防災調節池等技術基準によるもの、林地開発基準によるもの、流域貯留施設等技術指針によるものなどの設計手法があり、流域ごとに必要な調節池・調整池の容量計算を行います。調節池・調整池の容量計算を行う場合の留意点としては、流域の降雨強度については、タルボット式、シャーマン式、久野・石黒式、クリープランド式、各都道府県の指定式などから、適正な降雨強度式を用いて算出します。

調節池・調整池の現況流下能力については、マンニング式により、断面形状から流量を算出して判定します。 貯留施設におけるオリフィス断面については、矩形放流管、円形放流管などの設置を確認して、 断面形状とオリフィス個数を選定します。 貯留施設の洪水調節方式は、自然調節方式、ピークカット方式により検討します。

実雨降雨は、降雨強度、降雨量、流量の検討を行い、決定します。降雨波形タイプは、前方集中、中央集中、後方集中から検討します。洪水到達時間については、等流流速法、土研式、Kinematic Wave法などの計算結果を確認して算出します。

調節池・調整池の設計を行う場合の浸透計算については、有効降雨モデル、一定量差し引きモデル、 貯留浸透モデルを用いて算出します。 浸透施設の断面は、浸透トレンチ、浸透ます、透水性舗装、浸透側溝、大型貯留槽などを考慮して検討し、 設計浸透量を算出します。 浸透計算の結果は、雨水浸透施設の設備促進に関する手引きに記載されている、 雨水浸透効果の概算方法の流出抑制効果により確認する必要があります。

ため池の存在定義、堤体設計、余裕高の計算について

ため池、堤体の用語の定義については、次のような記載があります。

堤体の用語は、以下のとおりとする。
堤体 : 基礎地盤上に築造された、ため池の本体をいう。
基礎地盤 : 堤体直下、および付近の地盤をいう。
遮水性ゾーン : 堤体盛土のうち、遮水を主たる目的とする部分をいう。
ランダム : 堤体盛土のうち、遮水性ゾーン以外の部分をいう。
堤頂の高さ : 堤体の天端の最上面をいう。高欄、胸壁を設置する場合はこれを含めない。
堤高(H) : 遮水性ゾーン型にあっては、遮水性ゾーンが基礎地盤面を切る線の最深部から堤頂までの鉛置距離をいう。なお、遮水性ゾーンの底幅が10m以上のときは、遮水性ゾーン底面から堤頂までの鉛直距離をいう。均一型にあっては、堤頂上流端を通る基礎地盤面から堤頂までの鉛直距離をいう。
堤頂長(堤長L) : 堤頂における堤体の縦断方向の長さをいう。また、洪水吐等の構造物はこれが堤体内、又は隣接して設けられ、かつ堤体の一部と考えられる場含にはこれを含める。
堤頂幅(B) : 堤頂における堤体の横断方向の幅をいう。

また、ため池、堤体設計の手順についての、説明の一部です。
1. 調査
2. 堤体基礎地盤の決定
3. 設計洪水流量の決定
4. 上流法面勾配の仮定(堤高の仮定)
5. 余裕高の決定(波浪高)
6. 堤頂高・堤頂幅の決定
7. 仮定上流法面勾配値に合うかの判定
8. 標準断面の決定
9. 浸透量の算出(q)
10. q ≦ 60L・min(堤長100m当たり)の判定
NGの場合は、遮水性ゾーン断面を変吏する
11. 浸潤線の作成
12. 堤体の安定計算により安全率(Fs)の算出
13. Fs ≧ 1.2 の判定
すべり面が基礎地盟を通っている場合は、基礎地盤の改艮を行う。

ため池の余裕高(h2)については、次のように記述されています。
堤体の余裕高は、設計洪水時の貯水が堤頂を越流することがないよう、十分な高さとしなければならない。
余裕高は、次式により求める。
R ≦ 1.Om の場合
h2 = 0.05H2 + 1.0
ただし、堤高が5.Om末満のため池では、洪水量、ため池容量、ため池周辺の土地利用状況から想定 される、ため池決壊時の被害規模に応じて、余裕高を最小lmとすることができる。
R > 1.0m の場合
h2 = 0.05H2 + R
R : 波の打上げ高さ (m)
h2 : 余裕高 (m)
H2 : 最高水深 (m)
風による波の打上げ高さRは、対岸距離 F(m)、風速V(m/s)から求める。
なお、対岸距離を求める場合の貯水面は、設計洪水位の状態における貯水面とする。

参考文献:「土地改良事業設計指針 ため池整備」


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